私のラジオ作りは、中学生になってからも続くのだが、並3球ラジオ、5球スーパーラジオ、6BM8を使ったアンプ等を繰り返し作っていたように思う。並3球でも、12Fを使ったり、5MK9だったり、大きさや型が違う種類の組み合わせのものがあった。ST管とかmT管とか言っていた。土台になるシャーシーに、真空管のソケットを取り付ける穴をあけるのが大変だった。まず、ハンドドリルで1cmくらいの穴をあけ、その穴にテーパーリーマを差し込んで回して穴を大きくしていくのだが、結構力仕事で5,6個あけるのに一日はかけていたと思う。確かに大変な作業ではあったが楽しかった記憶しか残っていない。シャーシーの穴あけが終わったら、真空管のソケットを付け、いよいよ半田付けの開始だ。あとは、スピーカーから洋楽が聞こえてくるまで、時を忘れて組み立て続ける日々であった。
ほどなくして、ラジオ雑誌の中身が、真空管式ラジオから、トランジスタラジオに一気に変わっていってしまった。確かにトランジスタラジオは、コンパクトでスタイルもカッコよかったが、いざ組み立てるとなると、プリント基板に小さなトランジスタや抵抗などをはんだ付けするだけのようにみえた。真空管式ラジオの組み立て感と全く違うものに思えた。なぜなら、真空管式では、コンデンサーや抵抗をシャーシーの中に程よく埋め込むように配置していくことに組み立ての面白さが味わえるし、組み立てに費やした労力と比例するように、そのあとに真空管がほの暗くオレンジ色に光を発しながら、スピーカーから洋楽が流れてくるこの瞬間こそが、真空管式ラジオの醍醐味というか至福の時が訪れるわけで、トランジスタラジオの組み立て感では決して味わえない感覚だと思った。というわけで、その後はトランジスタラジオの制作には全く関心が持てず、いつしかラジオ作りもしなくなっていった。
